オレオレ詐欺が以前からですが非常に世間を騒がしています。
 
 銀行やCDでも「オレオレ詐欺ではないですか」と警告されていても後を絶ちません。
 認知症の患者さんは格好の餌食になっています。
 
 ここ最近あるのが認知症の患者さんに近寄って来て、ここに名前を書いてと言って、気軽にサインすると、それが金銭の借用書だったというケースがあります。そこの家族は授業料だと言ってましたが、私は必ず被害届を出すように話しました。 金額は数万円ですが、おそらく犠牲者は一人だけではないはずです。
 
 私がみている患者さんにも500万円という大金を詐欺にあった人、80万円振り込んだ人などたくさんいます。
 やさしく近寄って指図するのです。
 年金が入る15日なんかはきっと、私たちの目の見えないところで悪がはびこっているのです。
 
 ですから ここ最近は印鑑は押さないようにですとか、署名しないようにですとか、必ず患者さんや、その家族にも事例を挙げて説明していますが、これがどれほどの効果を残すか心配ですが、地道にやっていこうと思っています。

 今日は気になる記事からです。

 広島県内の介護・福祉の現場で働くケアマネジャー(介護支援専門員)の3割近くが、仕事を「続けたくない」と考えていることが、県のアンケートでわかった。
資格を持ちながら、6割強が別の仕事に就いていることも判明。専門職にもかかわらず、低賃金や厳しい仕事に対する不満が多く、高齢化が進む中、介護の中核を担うケアマネジャーの労働環境の改善が急務といえそうだ。
 広島県に登録する1万3488人(2月1日現在)を対象に実施。回答のあった6105人のうち、ケアマネジャーとして働いているのは2311人にとどまり、資格を持ったまま別の仕事をする2161人と、5年に一度の資格更新をしていない1633人を合わせると62・1%に達した。
 実働者の82・4%が正規雇用で、平均月給は約26万9700円。非正規雇用は月額約17万4900円だった。42%が「続けたい」と答えた一方、「続けたくない」は28・6%で、「わからない」と迷う人も29・4%いた。
 
 続けたくない理由(複数回答)は、「仕事の内容がきつい」が75%で、「給与等の労働条件が悪い」が59・3%、「専門性が評価されていない」35・5%と続いた。改善すべき点(同)でも、仕事や作業の「軽減、効率化、省力化」52・8%、「資格に見合った給与水準に引き上げる」49・5%、「経験に見合った給与体系の構築」32・7%の順で多かった。
「給与水準の引き上げ」を改善点に挙げる人が、別の仕事をする有資格者で29・7%、資格を更新しなかった人で21・7%とともに最多となり、給与面でケアマネジャーの道に見切りをつけた実態が浮き彫りとなった。
 
 この問題は非常にゆゆしき問題です。介護は医療より更に人件費がかかりやすく、また金額も少ない。care workerが長続きしない施設も大変多く、従業員の補充に頭を痛める施設責任者も少なくない。また例外にもれず、ここもモンスター何某がはびこる職域であります。
 みなさん給与面で見切りをつけるわけですから、給与面での引き上げを厚生労働省が行っていくしかありませんし、その財源としては、介護保険料の値上げを高額所得者は1割から2割の値上げも必要だと思いますし、もう少し抜本的な対策の練り直しも必要ではないかと考えます。

昨日の読売新聞に興味深い医療問題が掲載されていました。
 
私もこの1年くらいは、毎回毎回どうしたらいいのかを悩む問題です。
まずは全文をご紹介します。
 
 口で食べられない患者のおなかに穴をあけて、管から胃に栄養分を送る「胃ろう」が医療現場で広まっている。
患者にとって画期的な栄養補給法だが、かつてなら老衰死を迎えていた高齢者が意識のないまま何年間も生きる例もあり、利用の仕方を見直す動きも出始めている。
胃ろうは1979年に米国で開発、国内では90年代から広まった。普及に尽力した「PEGドクターズネットワーク」の鈴木裕理事長(国際医療福祉大教授)によると、国内で設けている人は約40万人という。
点滴や、鼻から管を通して胃に栄養分を送る従来の補給方法に比べて、十分な量の栄養が摂取できて、苦痛も少ない。家族でも取り扱えて、造設手術は10分たらずだ。
普及の背景には、こうした簡便さに加えて、高齢化の進展がある。高齢者人口の増加に伴い、脳血管障害や認知症により、口から食べられない人が増えたからだ。
患者にとって、回復して再び口から摂取できるようになるのが理想だ。しかし、そうした例は少なく、老人医療や介護の関係者の間で、回復が見込めない高齢者への造設を疑問視する声が出ている。
東京都世田谷区の特別養護老人ホームの石飛幸三医師は、認知症が進み、意識も薄れた高齢者が胃ろうで生かされる姿に疑問を感じ、今年2月に「『平穏死』のすすめ」(講談社)を出版した。家族と相談のうえ、入所者への造設をなるべく見合わせて、過剰な栄養や水分の補給を見直したところ、急変での死亡が減り、穏やかな老衰死が増えた。その実践例を紹介し、大きな反響を呼んでいる。
「欧米に比べて日本は造設が過剰に行われている」と指摘するのは東大死生学研究室の会田薫子研究員。フランスやオランダ、スウェーデンでは進行した認知症患者に胃ろうの造設は、通常行わないという。米アルツハイマー協会など欧米の専門家団体も「患者に利益をもたらす医学的証拠はない」と否定的な見解だ。
これに対し、日本では、「口から食べられなくなったら胃ろうは当たり前」という空気がある。しかも、いったん造設するとやめにくいという。延命手段をあえて控えることになり、神経質になっている医師も多いためだ。
都内で飲食店を経営する女性(47)の母親(81)は、パーキンソン病と認知症を患い、寝たきりで意思疎通もできない。のみ込む力も衰えたため、入院した病院で胃ろうを勧められた。
女性は「母は延命治療を嫌がっていた」として当初は断った。だが、「とりあえず体力がつくまで」と医師に言われて同意した。その後、退院時に外すよう求めると「外したらお母さんを殺すということですよ」と強い姿勢で拒否された。
鈴木理事長は「回復の見込みがないまま胃ろうを続けるのがいいのかどうか。胃ろうを試す機会を奪わないのはもちろんだが、治療効果がなければ使用を見直す機会を設けることがあってもいい」と指摘。現状把握を進め、中止を含む指針作りを検討したいと話す。全日本病院協会や日本老年医学会も胃ろうの実態調査に取り組んでいる。
認知症が進めば、食べられなくなる。その時、どうするのか。死生観ともかかわる問題だけに正解はないが、誰しも元気なうちに周囲に自分の考えを伝えておくべきではないか。
 
ということです。
確かにの話です。平穏死という考え方は非常にいい考え方ですし、言い名前だと思います。
ただ家族は、問題が他人事のときはそこまでしてもという思いはあるのだが、病院から自宅やグループホームに帰ることになった際に、結局胃ろうという選択肢を選ばざるをえないという状況になることである。
 
元気なうちに考えて、どうしたいかという意思を明確にして、更に文章化しておくことが一番求められることかもしれません。

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