認知症セミナーに行ってまいりました。

 そこで非常におもしろい話をききましたので、ご紹介します。

 味覚には甘・辛・酸・苦・塩・旨などの味覚があります。
 認知症になると、この味覚の中で何が鈍くなっていくのか?

 答え:それは酸味・苦味だということです。

 ですから認知症の患者さんはビールをごくごく飲むということは通常ないとのことです。
 確かに甘いものをたくさん食べる認知症の患者さんは今までに何人も見てきましたが、ビールをごくごく飲む認知症患者さんはいません。
 アルコールを飲む認知症の患者さんのほとんどは日本酒です。日本酒は甘口・辛口ありますが、多くは甘口の日本酒を飲むようです。

 ビール大好きな高齢者がビールを飲まなくなったら要注意です。
 こういうものに興味がなくなっていくわけで年齢だけの影響だけではないとのことです。

 なるほどね~と妙に感心したものでした。

最近のイギリスからの報告です。

認知症を取り囲む環境は先進国共通の問題です。
私も家庭内での認知症患者さんの虐待については時々話を聞いていましたので、この数字を聞いても「そうかな~?!」というのが正直な思いでした。

 在宅認知症高齢者に対する家族による虐待の実態について、ロンドン大学メンタルヘルス部門が調査を行ったところ、

①約半数が身体的・心理的な虐待を行っていること。
②虐待の度合いが重視すべきケースは約3割強に上ること。

イギリスおよびアメリカでは高齢者虐待が政策上の優先課題とされており、英国では虐待対策の法整備の改訂が検討されているところだということです。

 うちでもご主人が奥さんをといったケースだけでなく、奥さんがご主人をもありますし、お嫁さんがおじいちゃんもしくはおばあちゃんをものケースもあります。
 またまためずらしいところでは、孫娘がおばあちゃんをといったケースも少数ながらあります。

 私自身は認知症を呈する場合には極力、day serviceやグループホームなどへ「介護の外注」をお勧めしています。毎日毎日の煩わしさが体を変えて暴力に繋がることもあります。また加害者は全く暴力だとは思わないケースもあるからです。

 認知症の患者さんと接する機会を減らし、第三者からの客観的な目を介入させるところが、事故を未然に防ぎ、進展を抑止するのではないかと考えています。

オレオレ詐欺が以前からですが非常に世間を騒がしています。
 
 銀行やCDでも「オレオレ詐欺ではないですか」と警告されていても後を絶ちません。
 認知症の患者さんは格好の餌食になっています。
 
 ここ最近あるのが認知症の患者さんに近寄って来て、ここに名前を書いてと言って、気軽にサインすると、それが金銭の借用書だったというケースがあります。そこの家族は授業料だと言ってましたが、私は必ず被害届を出すように話しました。 金額は数万円ですが、おそらく犠牲者は一人だけではないはずです。
 
 私がみている患者さんにも500万円という大金を詐欺にあった人、80万円振り込んだ人などたくさんいます。
 やさしく近寄って指図するのです。
 年金が入る15日なんかはきっと、私たちの目の見えないところで悪がはびこっているのです。
 
 ですから ここ最近は印鑑は押さないようにですとか、署名しないようにですとか、必ず患者さんや、その家族にも事例を挙げて説明していますが、これがどれほどの効果を残すか心配ですが、地道にやっていこうと思っています。

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