イギリスからの報告です。

認知症を取り囲む環境は先進国共通の問題です。
私も家庭内での認知症患者さんの虐待については時々話を聞いていましたので、この数字を聞いても「そうかな~?!」というのが正直な思いでした。

 在宅認知症高齢者に対する家族による虐待の実態について、ロンドン大学メンタルヘルス部門が調査を行ったところ、

①約半数が身体的・心理的な虐待を行っていること。
②虐待の度合いが重視すべきケースは約3割強に上ること。

イギリスおよびアメリカでは高齢者虐待が政策上の優先課題とされており、英国では虐待対策の法整備の改訂が検討されているところだということです。

 うちでもご主人が奥さんをといったケースだけでなく、奥さんがご主人をもありますし、お嫁さんがおじいちゃんもしくはおばあちゃんをものケースもあります。
 またまためずらしいところでは、孫娘がおばあちゃんをといったケースも少数ながらあります。

 私自身は認知症を呈する場合には極力、day serviceやグループホームなどへ「介護の外注」をお勧めしています。毎日毎日の煩わしさが体を変えて暴力に繋がることもあります。また加害者は全く暴力だとは思わないケースもあるからです。

 認知症の患者さんと接する機会を減らし、第三者からの客観的な目を介入させるところが、事故を未然に防ぎ、進展を抑止するのではないかと考えています。

 認知症の患者さんは症状が出現してからを受診させるまでが大変なことがよくあります。
 
 もちろん本人を連れていくのも大変なんですが、家族の理解もない場合も多く、ケアマネからの愚痴を聞くこともたびたびあります。
 
 東京都の報告では家族が最初に認知症ではないかと気づいて受診までいきつくのに平均2年かかったというデータがあります。

 というのは思っていてもなかなか受診させないんですね。
 我が親だけに気持ちが複雑なのかもしれません。

 私が外来でみる患者さんは全く問題なしかもしくは、なんでこんなになるまで放っておいたのという患者さんか、両極端です。もっと早く来てくれればという患者さんも多いのです。平均2年かかれば「あ~あ~」という状況になるのも仕方ないかなあとも思います。

 疑えばすぐ受診。そうすることで結論はでますし、進行を遅らせる治療もあるあし、環境要因を整えることで家族も楽になるんだけどね~と思うことも多々ありますね。
 
 ここも言うは易く、行うのはかたしなんでしょうね・・・。

あるイギリスの有名な雑誌にこんな記事がでていましたのでご紹介します。

 認知症発症後の生存期間を推計し、背景因子ごとに解析を行った結果、フォローアップ期間14年における認知症発症後の推計生存期間中央値は4.5年であり、性別、発症年齢、機能障害が生存期間に有意な影響を及ぼしたということであった。

 男性で高齢で認知症を発症した場合はその傾向が顕著であったとのことです。

 認知症がみつかって平均4.5年しか生きれないというのは正直ビックリしましたね。

 短い。みじかいですよね。

 でまた男性で高齢だと余計悪いっていうのは理解できますね。

 先日、話し相手がいない人は脳卒中になっても早死にするという話題がでたばかりですが、同じような印象を持ちましたね。

 認知症に対する画期的な治療法がない現在では、やはり予防が一番大事だってことでしょうね~。

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