本日はこんな話題です。

認知症患者の介護費用については、大変大きな問題であり、重症度が増せば増すほど経済的負担が大きくなることは、容易に想像できます。

そういう問題を日本での前向き研究からの報告になります。
思った以上にお金がかかることにビックリした次第です。

雑誌:Journal of Alzheimer's Disease2020/1/19

 

著者:中西三春先生(東京都医学総合研究所)

 

目的:外来にて治療中のアルツハイマー型認知症の患者・家族を18カ月追跡し、社会的費用を算出したもの。

 

対象①:アルツハイマー型認知症患者は553人で、平均年齢80.3±7.3歳、女性72.7%。重症度は認知機能テスト(MMSE)で判定し、軽度(2126点)が28.3%、中等度(1520点)が37.8%、重度(14点以下)が34.0%だった。全体の70.9%が要介護認定を受けており、57.9%が介護サービスを利用していた。最も利用率が高い介護サービスはデイケアで、49.4%が利用していた。


対象②:介護者側は、平均年齢62.1±12.5歳、女性70.7%。当事者の子が49.0%、配偶者が37.1%を占め、78.8%が当事者と同居し、39.2%は1人で介護を担っており、47.7%は介護に加え就労もしていた。

方法: 医療・介護にかかる費用は以下の3つに分けて積算し、月平均費用を算出した。
1
.患者医療費

2.患者社会的介護費用(介護サービス費、家屋の改築、消耗品など)

3.介護者のインフォーマルケア費用(介護に要する時間や欠勤などによる労働損失を含む)

 

結果:

1.     介護者は月平均130.2時間費やしている。(軽症:97.2時間・中等症:118.2時間・重症:171.3時間)

2.     社会的費用は月平均224584円かかっている。

(患者医療費:26744円、患者社会的介護費用:69179円、介護者のインフォーマルケア費用:128661円)
(軽症:158454円・中等症211301円・重症:294224円)

結論:

1.     医療介護の社会的費用は患者が独居でないこと、ADLが高いこと、介護者が複数いることなどが、費用の低下と有意に相関していた。

2. 反対に費用の増大と有意に相関する因子として、要介護認定を受けていること、アルツハイマー型認知症診断からの経過期間が長いこと、介護者負担尺度(ZBI)のスコアが高いこと

この報告も2020年の日本のデータですので、今後大きく変化する可能性もあります。
しかし、介護費用は高くかかります。