認知症の周辺症状に対してリスパダール・セロクエルなどの抗精神病薬を使うことは決してまれでは無く、比較的におおい出来事です。今回はその抗精神病薬の使用状況についてのご報告です。
 
雑 誌:International Psychogeriatrics

対 象:2002年から2010年に厚生労働省が行った「社会医療診療行為別調査」を二次的に分析。アリセプトの処方を受けた65歳以上の外来患者15,591人を研究対象とした。

結 果:抗精神薬の投与数は微増傾向にある。
2008年~2010年:認知症患者に抗精神病薬が処方された数は全体の21%で、約5人に1人の割合。
2002年~2004年:1.1倍増となり、投与数は微増傾向にあることが判明した。

使用された抗精神病薬の種類に関しては、「第一世代抗精神病薬」は減少、「第二世代抗精神病薬」は増加し、薬の切り替えが進んでいるとみられる。

2008年~2010年に認知症患者へ投与された抗精神薬については、抗不安薬の処方割合は12%、デパケンの処方割合は1.9%。ただしこれらの薬については、諸外国の調査において投与する根拠がないともいわれており、使用に際しては注意が必要である。
 
 おそらく在宅で認知症患者さんをみる機会が増え、安易な入院・入所が全体的に減っていることから処方せざるをえない状況があるのではないかと思います。できるだけ長く在宅でみることが一つの大きな目標ですので、ある意味背に腹は代えられないのではないかと考えます。