https://care.blogmura.com/ninchisyou/img/ninchisyou88_31.gif
にほんブログ村 介護ブログ 認知症へ(文字をクリック)
ランキングに参加しています。クリックをお願いします。

本日は最新の研究発表からです。

認知症の発症する10-20年以上前から生体内での反応が起こり、予備能が徐々に低下し、更に各種因子が関与しながら認知症が発症すると言われています。

今回の研究は、microの世界ではなく、認知機能テストのスコアの移り変わりから認知症発症を予測しようという試みです。

雑誌:Journal of the American Geriatrics Society(2017/9/21)

著者:Dr. Ge Li(Washington Univ.)

内容:認知症発症の数年前から、認知機能低下が増加していることがこれまでの研究でわかってる。Cognitive Abilities Screening Instrument(CASI)の認知機能テストにおけるスコアの軌道により、正常な老化と比較した認知機能の変化を推定しようと試みた。
 アメリカの健康維持機構のコミュニティーメンバーを対象とした前向き研究。
対象:ベースライン時に認知症でなく、CASIスコアを2回以上測定した65歳以上の4,315人。性別、教育レベル、APOE遺伝子の認知機能の軌跡への影響を評価した。

結果:
①認知症診断者は、正常な老化と比較して、CASI IRTにおいて臨床診断の10年以上前に認知機能低下が明らかであった。
②平均IRTスコアの低下は、男性、低学歴、APOEε4対立遺伝子1以上との関連が認められた。
③認知症診断者の軌跡変化点は、平均臨床診断前の3.1年(95%CI:3.0~3.2)と推定され、その後認知機能低下が加速する傾向であった。
④変化点は、性別、教育レベル、APOEε4遺伝子型で違いは認められなかった。
⑤性別とAPOEε4遺伝子型による軌跡傾斜にわずかな差が認められたが、教育による差は認められなかった。

考察:著者らは「認知症と臨床診断される10年以上前から、平均的な認知機能の低下が明らかであった。この減少は、臨床診断の約3年前に加速する」としている。

このように最新の高額な機械で検査してとかではなく、一般的に行いうる方法で手間暇をかけてやることで、発症3年くらい前から推測できるというのは、大変興味深いことです。

更にこの研究が進んで、どういう人たちは症状が維持されていくのに対して、どういう人たちは悪化していくのかわかるようになれば、更にすばらしい研究だと思われます。

でも面白い研究だと思います。