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本日はアルツハイマー型認知症に対する最新の治験結果についての報告です。

この数年、アルツハイマー型認知症に対しての治験は全て失敗に終わっています。

ある治験は副作用で、ある治験は効果という点で課題をclearできなかったりしています。

現在のアルツハイマー型認知症に対する治験の特徴は
①結果が出しやすいように対象を境界型でもあるMCIや早期のアルツハイマー病に対象をしぼってやる傾向。
②抗体製剤(~mabという薬剤名になっています)を使う治療になっています。

今回の報告も軽度アルツハイマー病患者に対するヒト化モノクローナル抗体solanezumabの投与(400mgを4週ごと)について、認知機能低下への効果を見た治験です。

発表:Dr. Lawrence S. Honig

所属:Colombia Univ.(America)

雑誌:NEJM(2018/1/25)

方法:今回投与された、solanezumabは、可溶性Aβ(原線維アミロイドとして沈着する前の段階で、シナプスで毒性を引き起こすとされるペプチド)が、脳から除去される量を増やすように計画され、solanezumab 400mgを4週ごと投与し、80週の認知機能変化を評価した。

対象:MMSEのスコアが20~26の軽度アルツハイマー病患者で、PETまたは脳脊髄液中のAβ1-42測定によりアミロイドの沈着が認められた2,129例を対象に行った。
 被験者を2群に分け、一方にはsolanezumab 400mg(1,057例)、もう一方の群にはプラセボ(1,072例)、それぞれ4週ごとに76週間静脈内投与した。
 主要評価項目は、ベースラインから80週までの、ADAS-cog14スコアの変化量だった。

結果:①80週後のADAS-cog14スコア変化量の平均値は、solanezumab群6.65に対し、プラセボ群7.44と、両群で有意差はなかった。
②MMSEスコアのベースラインからの変化量は、solanezumab群が-3.17、プラセボ群が-3.66だった。

副作用:MRI上の異常所見としては、脳浮腫または髄液貯留が、solanezumab群1例、プラセボ群2例に認められた。

ということで効果も少なく、副作用もなく完全に失敗に終わっています。

現時点では、いくつかの治験が進行中であり、中にはかなりの効果を期待できる薬剤もあるようですが、実際問題として薬として承認されるまでは至ってないのが現状です。

早く、現在の4剤の抗認知症薬以外の薬剤が使用できるようになることを切に祈っております。