イメージ 1

https://care.blogmura.com/ninchisyou/img/ninchisyou88_31.gif
にほんブログ村 介護ブログ 認知症へ(文字をクリック)
ランキングに参加しています。クリックをお願いします。

本日は最新の研究論文からです。

外来で患者さんを拝見していると、いつ頃から認知症の症状がありますか?とお尋ねすると、「~~~」で入院している時におかしなことばかり言う。病院の先生からはせん妄だと言われたという話しをよく聞きます。

認知機能に問題ない人でもICU症候群でせん妄をおこすことは知られています。
一方、認知機能が少し落ちた患者さんが、入院のストレス・環境の変化・昼夜逆転などの時間感覚のずれ・入院に至った疾患の原因などでせん妄をおこしやすいことが知られています。

雑 誌:International journal of geriatric psychiatry(2018/4)

著 者:Dr. B. Olofsson (Sweeden)

内 容:大腿骨頚部骨折手術後3年以内の認知症発症について、潜在的な予測因子として術後せん妄に焦点を当て、調査を行った。

方 法:認知症・うつ病・心理的評価・栄養状態について、入院中および手術後4・12・36ケ月後に評価した。

結 果:①認知症の既往歴のない患者135例中、せん妄を発症したのは術前20例(14.8%)、術後75例(55.5%)であった。

②術後3年時で、43例(31.8%)が認知症と診断された。

③術後せん妄が認められた75例には、認知症を発症しなかった患者(92例中36例、39.1%)よりも発症した患者(43例中39例、90.6%)の方が多く含まれていた。

④統計学的には、年齢・性別・糖尿病・術前および術後せん妄・過活動性せん妄・せん妄の日数・尿路感染症・簡易栄養状態評価で調整した後、術後せん妄は、術後3年以内の新規認知症発症の独立したリスク因子であることが示唆された(オッズ比:15.6、95%CI:2.6~91.6)。

結 論:術後せん妄が認められる老年性股関節部の骨折患者では、認知症の発症を注意深く観察する必要がある。

我々が通常、入院・手術その後に認知症を発症したケースを見ると、おおよそ予想通りの結果であり、感覚的には臨床現場と同じような感覚です。

今後、高齢者を持つ家族で、入院中にせん妄症状を呈した場合には早めの医療機関受診などを勧めていくことが大変大事であると思われます。