イメージ 1

https://care.blogmura.com/ninchisyou/img/ninchisyou88_31.gif
にほんブログ村 介護ブログ 認知症へ(文字をクリック)
ランキングに参加しています。クリックをお願いします。

本日の話題は九州大学から「久山町研究」からでてきたデータによる論文です。
非常に興味深い内容で、年末には西日本新聞にも掲載されています。

雑 誌:Annual Neurology(2018/11/28)

著 者:Dr. 二宮利治(九州大学大学院衛生・公衆衛生学)

趣 旨:血清sTREM2値の上昇が認知症の発症と密接に関連する

目 的:sTREM2は脳内炎症におけるミクログリア活性化の指標で、これまでにTREM2遺伝子の変異が認知症の発症に寄与することが明らかにされている。また、認知症初期から脳脊髄液中のsTREM2が上昇することも知られている。しかし、血清sTREM2値と認知症発症との関係については解明されていない。
 久山町研究の追跡調査データを用いて、血清sTREM2値と認知症発症との関係、血清sTREM2が認知症発症の予測能に与える影響について検討した。

対 象:久山町に在住する認知症がない60歳以上の高齢者1,349人で、追跡期間は2002~12年の10年間だった。

結 果:追跡期間中に、300人が認知症を発症した。そのうち193人はアルツハイマー型認知症、85人が血管性認知症だった。対象を血清sTREM2値により四分位に分け、年齢と性を補正して解析したところ、認知症の発症リスクは、全認知症、アルツハイマー型、血管性のいずれも、血清sTREM2値の上昇に伴い有意に上昇した(全て傾向性のP<0.012)。

①全認知症の発症リスクがハザード比(HR)2.03。アルツハイマー型:HR 1.62、血管性:同2.85。

③血清sTREM2値の追加により、将来の認知症発症の予測精度が有意に改善することが示された。

考 察:ミクログリアを主体とした脳内炎症が認知症の発症に関係することを証明するとともに、血清sTREM2値が認知症の早期発見の有効な新規バイオマーカーであることを示唆する重要な知見であると評価している。

 この結果は関連性はやや薄くはあるが、採血にて結果が容易にでるために、60歳くらいでの健診項目の一つとして、その結果がよくないグループに対しては早期から介入して、認知症発生を防ぐような取り組みを行うのも一つの考え方である。
 その結果として大量のデータで更に解明が進み、認知症発症の原因探索に繋がっていくと思われる。


池田脳神経外科ホームページ http://www.ikedansc.jp/
池田脳神経外科フェイスブック https://www.facebook.com/ikedansc
頭痛日記 https://blogs.yahoo.co.jp/neuroikeda
認知症日記 https://blogs.yahoo.co.jp/dementiaikeda