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本日は教育レベルと認知症発症の関係性についての新しい研究報告になります。

通常は高学歴の人の方が認知症になりにくいという報告が圧倒的におおいのですが、そうではないという報告になります。

雑 誌:Neurology.2019 Mar 5;92(10):e1041-e1050

著 者:Wilson RS et.al

所 属:Rush University Medical Center, USA

趣 旨:教育レベルは認知症の発症年齢や進行速度と関連しない

目 的:従来の研究では、高学歴の人は低学歴の人に比べていったん認知機能低下が始まると進行が速いことや、脳内のアルツハイマー病マーカー値が高い高学歴の人はマーカー値が同程度で低学歴の人ほど認知機能低下が急速ではないことが示されていた。

対 象:米国のカトリック聖職者が対象のReligious Orders Studyおよびシカゴの高齢者が対象のRush Memory and Aging Projectの2試験の参加者計2,899例。試験開始時平均年齢78歳、平均教育年数16.3年(0~30年)、平均追跡期間8年。

方 法:全例が年1回の認知機能検査を受け、死後の脳剖検(10種の神経変性、脳血管マーカーを検出)に同意した。試験期間中に696例が認知症を発症、752例が死亡、405例が認知症を発症後に死亡した。

結 果:全体では、教育レベルが高い参加者ほど試験開始時の思考・記憶能力が高かったが、教育レベルと認知機能低下速度との関連は認められなかった。認知症発症群では、認知症診断の平均1.8年前から認知機能低下が進行していたものの、教育レベルと認知機能低下の開始年齢および進行速度に関連は認められなかった。

また、教育レベルが高い参加者ほど脳全体で検出できる梗塞発症率が低かったものの、その他の神経病理学的マーカーと教育レベルとの関連は認められなかった。

考 察:その後の思考・記憶能力が関与する活動(例えば外国語の習得や社会活動・高い知的能力を要する仕事・人生の目的を持つことなど)も認知予備能の維持に重要な役割を果たしている可能性があり、それらは以前の学校教育より関連が強いのかもしれないとの見解を示している。
「認知機能低下が同じ速度で進行するならば、やはり進行開始時点の認知予備能は高い方がよい」としている。

危険因子と認知症発現の因子については、明らかな結論をみるものとそうでないものが玉石混淆ではあるが、少しずつ今後も解明されていくと考えています。

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