カテゴリ: 認知症の最新研究

地中海食

本日はアルツハイマー型認知症のリスクを軽減するためのライフスタイルの研究についてです。

このようなレポートは今までにもいくつかあり、決して新しいという漢字はしませんが、生活の中にもヒントありということだと思います。

 
最近では「癌より怖い認知症」と言われる人もあり、癌治療の状況が改善していること、認知症治療が変わらないことが主たる要因だと思います。

そんな状況だからこそ、予防と言うことだと思います。

著者:Klodian Dhana

 

雑誌:Neurology. 2020 Jun 17

 

タイトル:健康的なライフスタイルとアルツハイマー型認知症のリスク:2つの縦断的研究からの所見

 

要約:質の高い食事、定期的な運動といった健康的な生活習慣を複数組み合わせることで、アルツハイマー病のリスクを60%も低減できる可能性のあることが、約3,000人を対象にした観察研究から明らかになった。

対象: Chicago Health and Aging ProjectCHAP1,845人)とRush Memory and Aging ProjectMAP920人)の2つのデータ。

 

健康的な生活習慣:1)週150分以上の中等度から強度の運動、2)禁煙、3)少量から中等量の飲酒量、4)質の高い地中海-DASH食の摂取、5)高齢者向けの認知活動の実践、の5つを設定し、参加者がこれらをいくつ達成できているかをスコア化した。

結果:CHAP5.8年、MAP6.0年に及ぶ追跡期間(中央値)の間に、それぞれ379人、229人がアルツハイマー病を発症した。

解析の結果、上記5つの健康的な生活習慣のうち01個しか達成していなかった人に比べ、23個達成していた人はアルツハイマー病リスクが37%低く、45個達成していた人は60%低くなることが明らかになった。

考察:①改善可能な行動を組み合わせることで、アルツハイマー病のリスクを低減できる可能性があることを示す新たなエビデンスとなる。この研究から、健康的な生活習慣とアルツハイマー病のリスク低下との関連が強化されただけではなく、介入措置によるアルツハイマー病の発症予防や発症遅延の可能性を調べる比較臨床試験の実施も視野に入ってきたと述べている。

NIA神経科学部門のプログラムディレクターを務めるDallas Anderson氏は、「この研究は、アルツハイマー病リスクにおいて、複数の因子がどのように関与するかを明らかにする上で役立つ」と述べ、「明確な因果関係が示されたわけではないが、有力な結果だ」と付け加えている。

5つの生活習慣の詳細は以下の通り。


1)中等度から強度の身体活動を週に150分以上行う。NIAは、運動継続のための最善策について、かかりつけ医に相談することを勧めている。

2)禁煙を行う。何十年も喫煙を続けてきた60歳以上の人でも、禁煙すれば健康状態を改善できることが、研究により明らかにされているという。

3)飲酒量は少量〜中等量にする。適度な飲酒は脳の健康に役立つ可能性がある。

4)食事の内容に気を付ける。NIAは、認知症予防との関連が示されている、植物性食品を中心に摂取するMIND食(地中海食とDASH食を合わせたもの)が有益であるとしている。

5)高齢者向けの認知活動を実践する。読書、ゲーム、講座を受ける、新しい技能や趣味を学ぶなど、常に頭を働かせ、知的な行動を取るよう心掛ける。


本日はアルツハイマー病・レビー小体型認知症(パーキンソン病)などでは、症状が出現する前から匂いが感じられない、味がわかりにくいなどの症状が知られています。

 

また、現在問題になっています新型コロナウイルス感染症も感染初期から味・匂いがわかりにくい症状があるのが特徴的と言われています。これはウイルスが舌・口腔・咽頭に存在し、症状を出現させていると言われていて、唾液のPCRでも診断がつく理由も同じだと言われています。

 

今回はそんなアルツハイマー病患者の味覚障害についての研究論文についてのご紹介です。

 

雑誌:BMC Neurology2020/3/26


著者:河月 稔(鳥取大学)

目的:アルツハイマー型認知症(AD)もしくは軽度認知障害(MCI)患者と認知症でない対照群(NDC)における味覚機能や味覚に影響を及ぼす要因を調査し、認知機能障害と味覚機能との関連を評価した。

対象:AD29例、MCI43例、NDC14


方法:病歴および薬歴を収集し、唾液分泌量測定、認知機能検査、血液検査、全口腔法味覚検査、食事および味覚に関するアンケートを実施した。


結果:AD群は、NDC群と比較し、有意に高い認識閾値が認められた(p0.05)。
②多くは最大濃度でうま味を認識しておらず、これはNDC群と比較し、AD群またはMCI群においてより頻繁に認められた。
③認知機能検査以外の評価項目では、群間に有意な差は認められなかったが、多くは唾液分泌が減少し、血清亜鉛濃度が低く、多剤併用療法を受けていた。
④認識閾値と年齢(r0.229p0.05)および認知機能テストのスコア(r0.268p0.05)との間に有意な関連が認められた。

結論:著者らは味覚機能の障害は、ADでは認められたが、MCIでは認められなかった。しかし、MCIでも、うま味を認識しない人は多かった。認知機能低下を有する高齢者の味覚障害は、唾液分泌、亜鉛濃度、処方薬など味覚に影響を及ぼす要因とは無関係に認められることが示唆されたとしている。

現在、盛んに言われているアルツハイマー型認知症と味覚障害についての論文です。
概ね、今の常識とされている内容で大きな違いはないようです。
このような結果であるために、認知症になって料理が下手になったりするという事実が十分説明できるように思います。

鉄剤

本日は「認知症」と「貧血」の関係性についての論文になります。

雑誌:
Current Alzheimer Research(2020/3/16)

著者:Chien-Tai Hong(台湾・台北医学大学)

表題Association between Anemia and Dementia-A Nationwide, Population-Based Cohort Study in Taiwan.(
貧血と認知症の関連-台湾における全国規模の人口ベースのコホート研究)

目的:台湾全民健康保険研究データベースを用いて、新規に貧血と診断された患者における認知症リスクの調査を目的とした人口ベースコホート研究を実施した。

対象:脳卒中による入院歴および認知症以外の中枢神経疾患・精神疾患・外傷性脳損傷・大手術・失血疾患の既往歴がない貧血患者2万6,343例。人口統計および合併症に基づいて貧血患者と1:4でマッチさせた非貧血患者を対照群とした。貧血患者の認知症リスクの評価には、対照群と比較するため、競合リスク分析を用いた。

結果:
①貧血患者における認知症リスクの調整部分分布ハザード比(SHR)は、1.14であった。
②鉄分サプリメントを使用している患者では未使用の患者と比較し、認知症リスクが低い傾向にあった(調整SHR:0.84、95%CI:0.75~0.94、p=0.002)。
③サブグループ解析では、女性、70歳以上および、高血圧・糖尿病・脂質異常症でない患者において、認知症と貧血との相関が認められた。


結論:貧血は認知症のリスク因子であることが示唆された。鉄欠乏性貧血患者に対する鉄分サプリメント使用は、認知症リスクを低下させる可能性があるとしている。

貧血と認知症の因果関係は少ないがあるということです。積極的なリスクではないが、認知症がある中年期特に女性は、鉄剤サプリなどを内服して貧血の改善に努めておいた方がいいですよという論文です。

本日はこんな話題です。

認知症患者の介護費用については、大変大きな問題であり、重症度が増せば増すほど経済的負担が大きくなることは、容易に想像できます。

そういう問題を日本での前向き研究からの報告になります。
思った以上にお金がかかることにビックリした次第です。

雑誌:Journal of Alzheimer's Disease2020/1/19

 

著者:中西三春先生(東京都医学総合研究所)

 

目的:外来にて治療中のアルツハイマー型認知症の患者・家族を18カ月追跡し、社会的費用を算出したもの。

 

対象①:アルツハイマー型認知症患者は553人で、平均年齢80.3±7.3歳、女性72.7%。重症度は認知機能テスト(MMSE)で判定し、軽度(2126点)が28.3%、中等度(1520点)が37.8%、重度(14点以下)が34.0%だった。全体の70.9%が要介護認定を受けており、57.9%が介護サービスを利用していた。最も利用率が高い介護サービスはデイケアで、49.4%が利用していた。


対象②:介護者側は、平均年齢62.1±12.5歳、女性70.7%。当事者の子が49.0%、配偶者が37.1%を占め、78.8%が当事者と同居し、39.2%は1人で介護を担っており、47.7%は介護に加え就労もしていた。

方法: 医療・介護にかかる費用は以下の3つに分けて積算し、月平均費用を算出した。
1
.患者医療費

2.患者社会的介護費用(介護サービス費、家屋の改築、消耗品など)

3.介護者のインフォーマルケア費用(介護に要する時間や欠勤などによる労働損失を含む)

 

結果:

1.     介護者は月平均130.2時間費やしている。(軽症:97.2時間・中等症:118.2時間・重症:171.3時間)

2.     社会的費用は月平均224584円かかっている。

(患者医療費:26744円、患者社会的介護費用:69179円、介護者のインフォーマルケア費用:128661円)
(軽症:158454円・中等症211301円・重症:294224円)

結論:

1.     医療介護の社会的費用は患者が独居でないこと、ADLが高いこと、介護者が複数いることなどが、費用の低下と有意に相関していた。

2. 反対に費用の増大と有意に相関する因子として、要介護認定を受けていること、アルツハイマー型認知症診断からの経過期間が長いこと、介護者負担尺度(ZBI)のスコアが高いこと

この報告も2020年の日本のデータですので、今後大きく変化する可能性もあります。
しかし、介護費用は高くかかります。

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本日は教育レベルと認知症発症の関係性についての新しい研究報告になります。

通常は高学歴の人の方が認知症になりにくいという報告が圧倒的におおいのですが、そうではないという報告になります。

雑 誌:Neurology.2019 Mar 5;92(10):e1041-e1050

著 者:Wilson RS et.al

所 属:Rush University Medical Center, USA

趣 旨:教育レベルは認知症の発症年齢や進行速度と関連しない

目 的:従来の研究では、高学歴の人は低学歴の人に比べていったん認知機能低下が始まると進行が速いことや、脳内のアルツハイマー病マーカー値が高い高学歴の人はマーカー値が同程度で低学歴の人ほど認知機能低下が急速ではないことが示されていた。

対 象:米国のカトリック聖職者が対象のReligious Orders Studyおよびシカゴの高齢者が対象のRush Memory and Aging Projectの2試験の参加者計2,899例。試験開始時平均年齢78歳、平均教育年数16.3年(0~30年)、平均追跡期間8年。

方 法:全例が年1回の認知機能検査を受け、死後の脳剖検(10種の神経変性、脳血管マーカーを検出)に同意した。試験期間中に696例が認知症を発症、752例が死亡、405例が認知症を発症後に死亡した。

結 果:全体では、教育レベルが高い参加者ほど試験開始時の思考・記憶能力が高かったが、教育レベルと認知機能低下速度との関連は認められなかった。認知症発症群では、認知症診断の平均1.8年前から認知機能低下が進行していたものの、教育レベルと認知機能低下の開始年齢および進行速度に関連は認められなかった。

また、教育レベルが高い参加者ほど脳全体で検出できる梗塞発症率が低かったものの、その他の神経病理学的マーカーと教育レベルとの関連は認められなかった。

考 察:その後の思考・記憶能力が関与する活動(例えば外国語の習得や社会活動・高い知的能力を要する仕事・人生の目的を持つことなど)も認知予備能の維持に重要な役割を果たしている可能性があり、それらは以前の学校教育より関連が強いのかもしれないとの見解を示している。
「認知機能低下が同じ速度で進行するならば、やはり進行開始時点の認知予備能は高い方がよい」としている。

危険因子と認知症発現の因子については、明らかな結論をみるものとそうでないものが玉石混淆ではあるが、少しずつ今後も解明されていくと考えています。

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