カテゴリ: 認知症の最新研究

ドナネマブ

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本日は新聞記事からの話題になります。

先日も「エーザイ」社から新しいお薬がアメリカで認可されたお話を提供しました。

 

今回は同系統のお薬「ドナネマブ」」が初期アルツハイマー病(AD)患者の認知機能低下を抑制したという結果を「イーライ・リリー」社が報告しました。

 

対象:6085歳の軽度認知障害(MCI)または軽度認知症患者で、進行の予測バイオマーカーであるタウタンパクのレベルがタウPETで診断し「中程度」であった1182人。

 

主要評価項目はアルツハイマー病評価尺度(iADRS)で、18カ月間で対照と比較して35%の抑制効果(p<0.0001)を示しました。
また、副次評価項目(Clinical Dementia Rating-Sum of BoxesCDR-SB)も36%抑制しました(p<0.0001)。

レカネマブも同様の評価項目があり、結果は27%でしたので、効果は強い印象です。)


ドナネマブ群の47%は、1年後にCDR-SBが低下しておらず(プラセボは29%p<0.001)。また18ヵ月後の日常生活動作能力(ADCS-iADL)の低下も40%抑制された(p<0.0001)
アミロイドPETでは開始後6ヶ月でアミロイド沈着の有意な減少が生じ、6ヶ月時点で34%12ヶ月時点で71%の参加者が病理学的にアミロイド陰性といえるレベルになった。

 

問題の副作用ですが、アミロイド関連画像異常(ARIAの発生率は,ドナネマブ群ではARIA-E(浮腫)は24.0に発生し、6.1が症候性でした。ARIA-H(出血)は31.4(偽薬群で13.6)で大部分は軽度~中等度でした。重篤なARIAの発生率は1.6で、ドナネマブを服用した868人の患者のうち,3人が死亡しました。死亡例の2人は薬剤の副作用であるARIAに直接関連しており、もう1人もARIAが重症化した後に発生したと考えられます。

 

この「ドナネマブ」ですが、アメリカでは本年6月に申請。日本でも年内に申請を出すことになっているようです。

レカネマブ」の時も書きましたが、まだ使えるわけでもないですし、承認どころか申請もされていない状況であること。

 

使える患者さんはアルツハイマー型認知症患者さんのごく一部(境界型もしくはごく軽度)しかいないこと、「レカネマブ」同様、死に直結する副作用の発現がおこること。患者さんの選択・観察方法や「レカネマブ」が350380万円/年間の医療費がかかるので、同様な高額な医療費がかかることなど、まだまだ問題は山積しています。

 

今後の報告を楽しみにしています。

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読売新聞レカネマブ
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このブログでも何度か紹介しました新しい認知症の薬「レカネマブ」ですが、1月7日でアメリカでの承認がおりました。
一歩一歩前に進んできました。

以前も大きなハードルがまだいくつかあると書きましたが、そのハードルの中の一つを越えることができました。

ただし何度も書きますが、これでど~んと前向きにスタートするわけではないと思われます。使用できなくなった抗認知症薬「
アデュカヌマブ」という薬もこのハードルは越えたわけですから、ここをclearすることは想定の範囲内です。

また、この承認と前後して「レカネマブ」投与で3例目の死亡例がScience誌に報告され、注目をあびています。
 Science News. Dec 20, 2011(doi: 10.1126/science.adg4937)

まだ
、延長試験が米国では続行中ですので、この経過については十分注目していかないといけません。

金額についてですが、350万円程度という報告がなされました。思った以上に安い設定ではありますが、それでも高額の医療費になることは間違いないわけです。

全てのアルツハイマー病患者が使えば国は滅びます。ですから以前も書きましたように、一定の患者さんという制限が設けられるはずです。

A)患者側要件

1)年齢 2)認知機能 3)pureなアルツハイマー型認知症(脳脊髄液検査/PET)
4)脳血管障害が全くない(特にアミロイド脳症)

B)使う医師側の要件

1)一定の条件を備えた医療機関(MRI/CT/入院施設)
2)専門医は必須   3)一定の治療経験

こういったものをclearした患者さんで、かつ高額な医療費や副作用の発現、定期的な医療機関への確実な通院や画像検査など、多くのclearすべき問題があるようです。

ですが、今後の経過について大変興味深く注目していますし、いい結果になることを祈念しています。

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レカネマブ


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本日は、注目のこの話題です。
TV・新聞では大変注目されたお話です。

同じような話で「アデュカヌマブ」という薬が以前から話題になりましたが、最終的な結論としては、保険適応できない薬。つまり、我々は使えない薬になってしまいました。

理由はコンパクトに書くと①効果 ②副作用 ③金額です。
何れも満足できるものではなかったということです。

今回の「レカネマブ」については、現時点で私がわかっていることは
プラスの点では

①27%症状の進展を抑制できたのは、大きな進歩である。

②副作用が偽薬群0.0%・実薬群で2.8%と許容範囲内であった。
アデュカヌマブでは副作用も問題になったこと、頻回なMRI検査が必要なことも問題)

マイナスの点
①おそらく境界型(MCI)やごく初期でしか使えないこと

②かなり高額な治療であること

③長期の効果・副作用がわからない事
(これは新しい薬ではあれば必ずある問題ですが)

あくまでも新聞発表でしか知りえない情報を基に私が考えることをまとめてみました。

このような新聞発表が出ると、必ずいい薬が出るんですね。いつから使えるんですか?という話になります。
現実問題として、使えるようになるかどうか全く不透明であるとしかいえません。

治験の話がでるたびに、今既に認知症の人に使える薬ではなく、今は認知症ではないけど、今後認知症になっていく患者さんが使える可能性が0ではないというレベルの話ですよと言うように話しています。

以前、話題になった「アデュカヌマブ」という薬が1年間に自己負担額がアメリカでは500-800万円という金額設定でしたので、金額についても大変大きな問題と考えています。

繰り返しますが、一報がでただけで使えるようになるかどうかは全くの未知数であることを肝に銘じないといけないと思います。

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本日は上記のタイトルのお話です。

もちろん大量の飲酒は脳の組織の萎縮を引き起こすことがよく知られている。
1日1合程度(ビール500ml・日本酒1合・焼酎0.8合程度)にすべきだと講演会でも話します。

今回は米ペンシルベニア大のチームが英国の約3万7千人の健康データを分析すると、1日にワイン1杯程度の飲酒習慣にとどめている場合でも、脳の萎縮が少しずつ起きる可能性があるとする研究結果をまとめた。

 少量の飲酒なら健康にプラスに働くとの考え方もあるが、これに見直しを迫る内容と言えそうだ。酒量が増えると萎縮の程度が加速的に大きくなる傾向も確かめた。


 チームは、英国に住む40歳以上の男女約50万人の遺伝情報や生活習慣、磁気共鳴画像装置(MRI)による脳画像データなどを集めた「UKバイオバンク」を利用。うち約3万7千人について、過去1年ほどの飲酒習慣と、脳萎縮の度合いとの関係を分析した。

 すると飲酒量が増えるに従って、脳の神経細胞が集積する「灰白質」や、神経線維が集まる「白質」の体積が減少する傾向を確認。1日にワイン1杯程度、またはビール小瓶1本程度の「適量」の飲酒でも、わずかながら萎縮が起きることを確かめた。

 飲酒しなくても脳は年齢とともに萎縮するが、50歳の人では1日の酒量がワイン半杯から1杯に増えると、2年分の加齢に匹敵する追加的な影響があるとチームは分析。さらに1日1・5杯に増えると影響は3・5年分と度合いがより大きくなると指摘している。

 この研究は非常に難しいと思います。
私は毎日MRI検査にてVSRADで脳容積の検討を行っていますが、同一患者さんでも体動でも結果はことなるものですし、体動がなくても体調によっても結果が変わることはザラである。
  
 まして、大人数のdataであれば、なお難しいのではないかと思います。毎日頭部MRIを数多く観てきましたが、MRIを使って正確なvolume dataを得るのは非常に難しいです。


 このような論文は大衆受けはしますが、我々医療者の肌感覚とは異なることも多く、なかなか理解されにくいと思います。
 もちろん、飲酒どんどんしてくださいと言う訳ではなく、適量に心がけてくださいという話である。


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Aducanumab

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本日は新しい認知症の薬「アデユカヌマブ」についてのお話です。

 外来でよく患者さんのご家族から新しい認知症の薬が出たんでしょう~?!と話を伺うことがよくあります。日本では2011メマリー・レミニール・リバスタッチテープ3剤が発売されて既に10経過していますが、現在のところ新しい薬の発売予定は全くありません。

 おそらく、新しい認知症の薬とは上の写真の「アデュカヌマブ」の事を言われているものだと思われます。今年67日に各新聞の1面にて、アメリカのFDA(アメリカ食品医薬品局)に承認された報道があったからだと思われます。FDAは日本では厚生労働省と同じ意味合いの政府組織ですので、アメリカで発売され使われるようになる。イコール日本でも使われるものだと思われても仕方ありませんが現実問題として、日本では承認審査中(つまり使えない状況)で、使える目途は全くたっていません。

 アルツハイマー病は、通常脳から排出されるアミロイドβというたんぱく質が蓄積し、神経細胞を壊すものと考えられます。この「アデュカヌマブ」は アミロイドβを取り除き、神経細胞を守ることでアルツハイマー病の進行を防ぐ効果があると期待されています。

 ところが、米国神経学会の見解では、この「アデュカヌマブ」は、脳内のアミロイドβを減少させるものの、認知機能の改善をもたらすかどうかは不明であると言われています。また、副作用としてアミロイド関連画像異常(amyloid-related imaging abnormalities; ARIAと呼ばれる治療に伴う脳内炎症のリスクがあり、それには脳出血が含まれる可能性があることやFDAが承認した用量を投与された人の3分の1においてARIAを生じるとも言われていて、無視できないほどの合併症と言えます。

 また、費用についてもアメリカでは「アデュカヌマブ」の薬剤費だけで年間56000ドル(日本円で約634万円・11/29現在)という超高額であるため、日本でそのまま13割負担の金額で使用できるとは到底思えません。それに加えて、潜在的な副作用や頻回なMRI検査によるモニタリングを頻繁に行う必要があり、頻回な受診の必要性があることも併せて考えないといけません。

 そうなりますと、
「アデュカヌマブ」1人の患者さんに使うとなると、1年間の医療費アメリカでは10万ドル(日本円で1132万円)を超える可能性があることを指摘しております。

 もちろん我々医療者側としても、現在の内服薬だけでなく選択肢が増えることが大変望ましいのですが、この状況から考えますとアルツハイマー病の早期の段階の人で、かつ通常の検査✙諸検査(アミロイドPET・脳脊髄液検査etc.)により、この新薬を使う患者さんがかなり絞られることになると思われます。
 2025には日本全体で730万人の認知症患者さんがいる推計になっていますが、その中のアルツハイマー病の患者さんで、かつ初期の段階の患者さんの一部に使用すると考えるのが妥当なのではないかと思われます。

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