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本日は、認知症の講演会からの話です。
愛知県認知症疾患医療センターの川畑信也先生の講演を先日聞いてきました。
 
川畑先生の話はいつも実際的で、臨床に則した興味深い話をいつも聞かせていただきます。それは明らかに日々たくさんの認知症患者さんを見ているのが肌で感じられる話ですから、目線が我々にちかいという風に感じています。
今回特に興味を持った話は、自分も普段感じていることをデータ化していただいたタイトル通りの話です。
 
川畑先生の認知症外来では
   ①   家族が受診に連れてきた場合    認知症412VS正常35
   ②   自分で受診された場合         認知症7VS正常107
   ③   かかりつけ医から受診された場合   認知症138VS正常18
というデータを見せていただきました。
 
私は外来で家族が連れてきた場合は認知症10:正常1
本人のみで来た場合は認知症1:正常10
の割合ですよと以前から話していましたが、今回の先生のデータは私の外来での肌感覚と同じような感覚でした。
生のデータですから大変意味のあるデータです。


やはり自分で記憶力が低下している。もしくは物忘れがあると判断してもしくは他の人から指摘されて、普段の病院ではない病院を探して受診する。それも一人でという場合には、行動力を含めてまっとうな理解・判断・実行ですから、やはり認知機能が低下していないのが圧倒的なことも十分うなずけるのではと思います。


大変興味深いデータでした。

最新の研究報告です。
 
「アルツハイマー病患者は転倒しやすくなる。」
 
発表者:米ワシントン大学(セントルイス)作業療法・神経学助教授Susan Stark
 
対象:、記憶および加齢に関する研究に参加した高齢者125人
 
目的:全員の脳MRIを検討。また、8カ月間に転倒した回数を記録。
 
結果:被験者125人中48人に1回以上の転倒がみられた。被験者に対する脳MRIで、アルツハイマー病の特徴である異常蛋白(たんぱく)への高濃度の造影剤結合が認められ、スキャンでの高濃度増加単位(ユニット)あたり転倒リスクは2.7倍増大していた。
 
結論:アルツハイマー病は平衡障害や歩行障害、また視覚や空間認識障害にも関係しており、患者では転倒リスクが高まる。今回の知見から、記憶喪失や思考障害などより明確な他の徴候に先立ってこれらの徴候が出現することが考えられるという。
 
アルツハイマー病患者では空間認識能が低下しますので、転倒リスクが高くなることは理屈として納得できますが、それだけではなく筋力の問題も大きく関与しているので、これからのさらなる研究結果を期待したい。

昨日の読売新聞に興味深い医療問題が掲載されていました。
 
私もこの1年くらいは、毎回毎回どうしたらいいのかを悩む問題です。
まずは全文をご紹介します。
 
 口で食べられない患者のおなかに穴をあけて、管から胃に栄養分を送る「胃ろう」が医療現場で広まっている。
患者にとって画期的な栄養補給法だが、かつてなら老衰死を迎えていた高齢者が意識のないまま何年間も生きる例もあり、利用の仕方を見直す動きも出始めている。
胃ろうは1979年に米国で開発、国内では90年代から広まった。普及に尽力した「PEGドクターズネットワーク」の鈴木裕理事長(国際医療福祉大教授)によると、国内で設けている人は約40万人という。
点滴や、鼻から管を通して胃に栄養分を送る従来の補給方法に比べて、十分な量の栄養が摂取できて、苦痛も少ない。家族でも取り扱えて、造設手術は10分たらずだ。
普及の背景には、こうした簡便さに加えて、高齢化の進展がある。高齢者人口の増加に伴い、脳血管障害や認知症により、口から食べられない人が増えたからだ。
患者にとって、回復して再び口から摂取できるようになるのが理想だ。しかし、そうした例は少なく、老人医療や介護の関係者の間で、回復が見込めない高齢者への造設を疑問視する声が出ている。
東京都世田谷区の特別養護老人ホームの石飛幸三医師は、認知症が進み、意識も薄れた高齢者が胃ろうで生かされる姿に疑問を感じ、今年2月に「『平穏死』のすすめ」(講談社)を出版した。家族と相談のうえ、入所者への造設をなるべく見合わせて、過剰な栄養や水分の補給を見直したところ、急変での死亡が減り、穏やかな老衰死が増えた。その実践例を紹介し、大きな反響を呼んでいる。
「欧米に比べて日本は造設が過剰に行われている」と指摘するのは東大死生学研究室の会田薫子研究員。フランスやオランダ、スウェーデンでは進行した認知症患者に胃ろうの造設は、通常行わないという。米アルツハイマー協会など欧米の専門家団体も「患者に利益をもたらす医学的証拠はない」と否定的な見解だ。
これに対し、日本では、「口から食べられなくなったら胃ろうは当たり前」という空気がある。しかも、いったん造設するとやめにくいという。延命手段をあえて控えることになり、神経質になっている医師も多いためだ。
都内で飲食店を経営する女性(47)の母親(81)は、パーキンソン病と認知症を患い、寝たきりで意思疎通もできない。のみ込む力も衰えたため、入院した病院で胃ろうを勧められた。
女性は「母は延命治療を嫌がっていた」として当初は断った。だが、「とりあえず体力がつくまで」と医師に言われて同意した。その後、退院時に外すよう求めると「外したらお母さんを殺すということですよ」と強い姿勢で拒否された。
鈴木理事長は「回復の見込みがないまま胃ろうを続けるのがいいのかどうか。胃ろうを試す機会を奪わないのはもちろんだが、治療効果がなければ使用を見直す機会を設けることがあってもいい」と指摘。現状把握を進め、中止を含む指針作りを検討したいと話す。全日本病院協会や日本老年医学会も胃ろうの実態調査に取り組んでいる。
認知症が進めば、食べられなくなる。その時、どうするのか。死生観ともかかわる問題だけに正解はないが、誰しも元気なうちに周囲に自分の考えを伝えておくべきではないか。
 
ということです。
確かにの話です。平穏死という考え方は非常にいい考え方ですし、言い名前だと思います。
ただ家族は、問題が他人事のときはそこまでしてもという思いはあるのだが、病院から自宅やグループホームに帰ることになった際に、結局胃ろうという選択肢を選ばざるをえないという状況になることである。
 
元気なうちに考えて、どうしたいかという意思を明確にして、更に文章化しておくことが一番求められることかもしれません。

イギリスからの報告です。

認知症を取り囲む環境は先進国共通の問題です。
私も家庭内での認知症患者さんの虐待については時々話を聞いていましたので、この数字を聞いても「そうかな~?!」というのが正直な思いでした。

 在宅認知症高齢者に対する家族による虐待の実態について、ロンドン大学メンタルヘルス部門が調査を行ったところ、

①約半数が身体的・心理的な虐待を行っていること。
②虐待の度合いが重視すべきケースは約3割強に上ること。

イギリスおよびアメリカでは高齢者虐待が政策上の優先課題とされており、英国では虐待対策の法整備の改訂が検討されているところだということです。

 うちでもご主人が奥さんをといったケースだけでなく、奥さんがご主人をもありますし、お嫁さんがおじいちゃんもしくはおばあちゃんをものケースもあります。
 またまためずらしいところでは、孫娘がおばあちゃんをといったケースも少数ながらあります。

 私自身は認知症を呈する場合には極力、day serviceやグループホームなどへ「介護の外注」をお勧めしています。毎日毎日の煩わしさが体を変えて暴力に繋がることもあります。また加害者は全く暴力だとは思わないケースもあるからです。

 認知症の患者さんと接する機会を減らし、第三者からの客観的な目を介入させるところが、事故を未然に防ぎ、進展を抑止するのではないかと考えています。

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