20251125西日本新聞

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先日、新聞に「3つの質問で簡単に認知症を発見する方法」という報道があり、大変興味深く読ませていただいた。常日頃、外来にて認知症患者さんを拝見する立場として考えても納得できる簡便な方法だと思い、本日は我々認知症専門医の意見も交えてご紹介する。質問は以下の3つです。

 

 質問① 現在、困っていることはありますか?

リスクの高い対応や答えは「ない」もしくは「物忘れはあるが年齢のせいなので困っていない」と回答することです。

 

 質問② 現在、楽しみはありますか?

この質問については具体的にそれぞれの内容で回答する。

 

 質問③ 最近(3ヶ月以内)気になるニュースを挙げてください。
「ない」もしくは3ヶ月以上前のニュース具体性がない回答をする。

 

 この3つの質問の意味合いについてですが、
①の質問では、病識があるかないかをチェックしています。認知症、特にアルツハイマー病の患者さんでは、多くは病識がない人が多いからです。

 

②の質問では、きちんと答えられるかどうかをチェックしています。特にアルツハイマー病の患者さんでは「取り繕い」という行動が多くみられます。「取り繕い」は相手の話にあわせて自然に振る舞おうとする行為を呼びます。そのため認知症患者さんでも、意外と答えられると思います。

③の質問では、直近の話題になることを尋ねてもあまりピンときていません。例えば今年パリでオリンピックがあったけれど、かすかにオリンピックがあった印象はあるのだけど、どこであったか?どんな人が活躍したか?など尋ねても答えられないか見当違いの答えになったりします。

 

さらに、これらの質問をした時に直接答えず、同伴する家族らに助けを求める兆候「振り返り動作」(Head-turning-signがあるかどうかを確認することも大変大きなポイントになります。この動作は本能的に答えに自信がないので、あなた答えてよという態度で示す行為で、「振り返り動作」(Head-turning-signもアルツハイマー病で比較的よく見られる兆候で、我々が見ても診断的価値が高いと思います。

 

上記①から③のように回答した場合は、アルツハイマー病の危険性が高く、アルツハイマー病の原因物質であるアミロイドβの蓄積量が平均して3倍高く、83%の人が治療の必要性が高いと判断されています。

 

 3つの質問で簡単に診断できる方法ですので、一般の人や、家族に認知症を疑わせる人がいる場合にも試していただく価値があると思います。

 

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