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2週続けて、認知症患者の車の運転についてお届けしました。
今回がこのシリーズの最後です。
今回は法的な問題についてです。

まず先週木曜日に上記タトルの内容で毎日新聞の取材を受けました。大きな社会問題なので記事になるとのこと、今週載ったようですが、毎日新聞を取っていないので内容は確認できていません。

さて、法的な問題であれば大きく分けて①刑事罰 ②民事罰の2つがあります。

まずは①刑事罰についてです。
認知症患者の場合は、認知力・判断力の低下が日常的な症状であるため、運転開始時、または体調の異変を感じた時に、結果回避が可能であったかの判断が難しく、他の疾患を持つ運転者の事故よりも過失の認定が困難とされている。そのために一般的には刑事罰をうけることはないとされています。
横浜で小学校1年生がはねられ、死亡したケースでも運転していた88歳の男性には刑事罰は与えられていません。

続いて民事罰についてです。
責任能力がないケースでは民法713条により免責されるのが一般的です。そこで認知症のために事故発生時は責任無能力状態だった認定されれば、不法行為による賠償責任は負わないものと考えられます。しかし、事故をおこした認知症患者さんが運転している車の所有者であれば、さきほどの民法713条の規定は及ばないと解釈されているので、運転者が責任無能力状態であったとしても免責されないようです。

もし、運転手が免責されたとしたら運転手の家族はどうなるかというと、運転者本人は不法行為による賠償責任は負わないが、その監督責任義務者にあたる者に、賠償責任が民法714条から発生すると考えられています。

JR東海の駅構内に入り込んで死亡した認知症患者のケースでは、患者の妻ならびに息子に対して賠償責任について裁判が行われ、最高裁まで争われた結果、息子ならびに妻の賠償責任にあたらないという結果になったのは記憶に新しいですが、横浜のようなケースでは、恐らく認知症患者の家族に対しての賠償責任がでてくるのではないかと考えられます。

法律的な解釈はなかなか難しく、今回の内容については、「認知症患者の自動車運転に
関する法的問題」 (Dementia Japan30:385-393,2016)の内容から抜粋してお届けいたしました。