イメージ 1

https://care.blogmura.com/ninchisyou/img/ninchisyou88_31.gif
にほんブログ村 介護ブログ 認知症へ(文字をクリック)
ランキングに参加しています。クリックをお願いします。

本日は最新の研究報告からです。 

抗認知症薬で最も有名なアリセプトですが、臨床で使う際に患者さんによって凄く効果を感じるときと感じられないときがあるのはよく知られています。

今回の研究はどのような患者さんがアリセプトに対して効果があるのかを調べた研究です。

雑誌:Geriatrics & gerontology international(2017/8/29)

発表者:Dr. Meng-Ni Wu(Taiwan)

目的:アルツハイマー型認知症に対するアリセプトの治療反応は、患者により異なります。
治療前に治療効果を推測することが重要です。
脳の深部白質の変化に着目し、深部白質病変の場所や重症度とアリセプトの治療効果との関連を調査した。

対象:アリセプトを投与されているAD患者418例のうち、196例を対象とした。5つの脳領域を、治療前にCTおよびAge-Related White Matter Changes Rating Scaleを用いて分析した。認知障害検討のため、Cognitive Abilities Screening Instrument(CASI)を毎年実施した。ベースライン時からフォローアップ時のCASIスコアの差が0以下であった場合を、治療反応者と定義した。

結果:①治療反応群と非治療反応群との間で、人口統計学的データでの有意差はなし。
②治療反応群は、前頭側頭領域における白質病変の関与が有意に少なく、大脳基底核領域における白質病変の関与が殆どなかった。
③年齢、性別、教育、アポリポ蛋白E多型、高血圧、糖尿病で調整した後、前頭側頭領域および大脳基底核領域における白質病変は、治療反応の低下との有意な関連が認められた。

結論:前頭側頭領域および大脳基底核領域に白質病変を有する患者さんでは、アリセプトに対する治療反応があまり良くない。白質病変の場所が、重症度とは関係なくアルツハイマー型認知症患者におけるアリセプトの治療反応と関連している可能性があることが示唆された。

今までもアリセプト使用例で効果が良いものについての議論はなされていた。
レビー小体型認知症などでは反応性がいい患者さんが多かったり、小梗塞巣がない患者さんが反応が良かったりとの印象はある。
今回は白質病変に着目した研究成果であるが、今後は少し着目して患者さんのアリセプトに対する効果をみていきたい。